オススメの山岳小説!気持ちが上がらないという時読んで欲しい!

こんにちわ。

人にはそれぞれ大小はあっても悩みやコンプレックスで心が落ちちゃう時ってありますよね。

今回紹介したい作品は、夢や希望を持つことの大切さや、人を馬鹿にしたり偏見を持ったりして生きていても何も楽しくなんか無いということを教えてくれる本です。

私も初めて手にして読んだ時に悩んで落ち込む事より、やりたい事に向かって一生懸命に努力をすることが大切だと思えました。

この本の物語に出てくる主要人物〝 パウロさん 〟も抱えてる悩みを打ち明けずに人知れず頑張っています。

パウロさんの凄いところはそういう部分を表に出さずに他の悩みを抱える人に優しく出来るところ。

みんなの心もきっと晴れやかにしてくれるこの作品をぜひ楽しんでみて下さい!

目次

【未踏峰】 / 笹本稜平 / 文春文庫

北八ヶ岳にある山小屋の親爺さんと従業員(仲間という方が正しいかな?)がヒマラヤの未踏峰を目指す物語です。読み始めではヒマラヤが出てくるとは思えない内容で、引き込まれていく事間違い無いと思いますよ。

遺骨が入ったケースを胸に、それぞれの事情を抱える橘裕也と戸村サヤカ、勝田慎二の三人は、ヒマラヤ未踏峰に挑んでいた。彼らをこの挑戦に導いたのは登山家として世界に名を馳せ、その後北八ヶ岳の山小屋主人になった〝パウロさん〟だった。祈りの峰と名づけた無垢の頂に、はたして彼らは何を見るのか?圧巻の高所世界に人間の再生を描く、著者渾身の長編山岳小説。

引用元:笹本稜平(2012年)『未踏峰』祥伝社 裏表紙より

著者プロフィール:笹本 稜平(ささもと・りょうへい)
1951年千葉県生まれ。立教大学社会学部社会学科卒業。2000年、『ビッグブラザーを撃て!』にて作家デビュー。’01年には『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブルで受賞した。’04年の『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーや冒険謀略小説の他、近年は警察小説、山岳小説の名手として存在感を示している。著書『還るべき場所』『春を背負って』『所轄魂』など。

心に問題を抱えている三人の従業員

本編に登場する主要人物である3人の従業員はそれぞれ悩みや心に問題を抱えています。

この3人にパウロさんは頑張れば出来るけど、簡単には叶わない目標を与えます。褒めたり、叱責したり、3人の得意不得意を把握して真剣に努力できるように仕向けていきます。

このような巧みなコントロールは社会では上司や経営者のお手本です。

しかし、実社会にパウロさんのような上司はほとんどいないのが悲しい現実です。

山には一般社会のような差別も偏見もない。努力は必ず報われる。パウロさんが教えたかったのは、なによりもそのことのはずだった

引用元:笹本稜平(2012年)『未踏峰』祥伝社 p.189より

現代の社会では今だにある差別や偏見などのハラスメント。学校でもそうだし、社会に出てからもなかなか努力が報われる事って無いじゃないですか?

考え方がその他大勢と違うだけでおかしいと言われたり…。

ミシェル

確かにその通りだと思うケースは多いよね。

私も考え方がおかしいと、正解がない場合でも否定されたことがあるよ。

トラボルタ

僕は〝 障害 〟〝 健常 〟という言葉があまり好きじゃないんだ。

必要とする行動が苦手なだけ という認識だよ。

しかしながら、本音だけじゃ中々うまくはいかない現代社会にもマッチしている描写もパウロさんが表現して各登場人物の特徴をわかりやすくしています。

そのため読者は登場する人物の言葉や表情、また場面の状況を文章から読み取る事が簡単に出来るでしょう!

3人にとって最高の教科書

klimkinによるPixabayからの画像

山小屋のオーナーパウロさんは3人の従業員にとってどこにも売っていない参考書です。

物語の最後の最後まで3人の心を強くする教えを伝えていきます。

この作品の醍醐味は 心の教育 」です。

作品を読んでみれば、きっと皆さんにも役に立つ表現があるでしょう。

自分が駄目だと思った時が敗北なんだって。心臓が動いて呼吸ができる限りチャンスはあるんだって

引用元:笹本稜平(2012年)『未踏峰』祥伝社 p.208より

こういう考え方が出来る様になるまでが本当に大変ですよね。そもそもこの領域に達することができる人が何人いるのだろうと考えてしまうのは私だけでしょうか?

笹本さんの作品にはよくこういったニュアンスの言葉が出てきて作家さんの伝えたい事がよくわかる部分でもあります。

笹本さんの山岳小説にハマっている私も出来る限り、こんな風に物事を考えて、人生を楽しくするために何にでもチャレンジしようと思っています。

まとめ

この作品は主となる登場人物が4人と多くなく、それぞれの特徴が把握しやすいのでとても読みやすいです。私は他の小説では読んでいる間に何度も戻って人物確認をしてしまうのでわかりやすかったです。

ヒマラヤを目指す話をしつつ、日本の山々の素晴らしさや過酷さをトレーニング描写の中に織り込んで書いてあるのも良かったです。

今までやった事がないことに挑戦するのはとても勇気がいる。だけど、困難を乗り切る力をつければ夢は叶えられる事を〝 未踏峰の山に挑戦! 〟に置き換えて教えてくれている気がしました。

山の世界では無名の山を題材にしているのも〝 自分だけの夢に向かって頑張れ! 〟と言われているようでした。

私としてちょっと寂しかったのは、山岳小説に欠かせないヒロインとの恋の行方、この部分がない事ですかね。ヒロイン的存在の人物も仲間色が強く、物語のその後を予想しても恋人にはならなそうと私は感じました。(ここは読んでくれた皆さんの予想も聞きたいところですw)

KanenoriによるPixabayからの画像

最後にパウロさんの名言をもう一つ載させて頂きたいと思います。

幸福は他人から与えられるものじゃない。誰かから盗みとれるものでもない。自分の心のなかにもともと火種があるんだよ。幸福になれるかなれないかは、それを自分で燃え立たせられるかどうかで決まるんだ。

引用元:笹本稜平(2012年)『未踏峰』祥伝社 pp.358-359より

差別的な社会への疑問を投げかけた作品でもあります。ぜひ、手に取ってみて下さい。

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この記事を書いた人

電気設備会社の経営者
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